思わず踏みたくなる!冬の風物詩「霜柱」はどうやってできる?
身近な現象だからこそ、その仕組みを知れば、冬の朝の景色がもっと面白く見えてきます。この記事では、霜柱ができる仕組みや条件、霜との違いをわかりやすく解説します。
霜柱とは
土を被った霜柱
頭に土を被っているのは、氷が地面から伸びるときに、一緒に土を持ち上げるからです。ときには小石を持ち上げることもあり、意外にも力持ちです。また長いものは、なんと10cm以上になることもあります。
冬の朝、地面に立つ霜柱を見つけると、思わず童心にかえってサクサクと踏みしめたくなりますね。
霜柱ができる仕組み|土の中の水分が凍りながら成長
霜柱ができる仕組み
霜柱は、土の中の水がどんどん吸い上げられて、氷の根元の部分(地面と接しているところ)から氷の柱が伸びていきます。
地表面付近の水が凍る
↓
毛細管現象(※)によって、土の粒の隙間から地表面に水が上がってくる
↓
地表面付近の水が凍ると、体積が増えて、先にできていた氷を上へと押し上げる
これらを繰り返しながら、氷の柱が成長していきます。
(※毛細管現象とは、狭い隙間などに液体が吸い上げられる現象のこと。飲み物にストローをさすと、水面の高さがコップの中よりもストローの中の方が高くなるのは、この毛細管現象によるものです。)
霜柱ができやすい条件|ポイントは温度と土壌にあり
霜柱ができやすい条件
①地表面の温度が0℃以下、土の中が0℃以上
地表面が0℃以下に冷やされて、地表面付近の水が凍ります。ただし、土の中まで凍ってしまうほど寒いと、地表に霜柱はできません。
②適度に細かい土粒を含む柔らかい土
土によって、霜柱ができやすいものと、できにくいものがあります。
霜柱ができるためには、土の中に適度に水分を蓄え、吸い上げることができる大きさの隙間が必要です。
そのため、踏み固められた土に霜柱はできにくく、柔らかい土の方が適しています。
また、土粒の大きさも関係しています。粒子が大きく水はけが良すぎる砂や、逆に粒子が細かく水はけの悪い粘土には、あまり霜柱はできません。砂と粘土の間にあたる、シルトと呼ばれるやや細かい土粒を多く含んでいる場所の方が、霜柱はよく見られます。
例えば、関東地方に広く分布する「関東ローム」という火山灰質の土も、シルトを含んでおり、霜柱がよく見られる土として知られています。
霜との違い
霜とは、空気中の水蒸気が地面や草、屋根、車などの表面に氷の結晶となって付着したものです。
霜は空気中の水蒸気が直接氷に変化してできるのに対し、霜柱は地中の水が凍ってできます。このでき方の違いから、霜は「降りる」に対し、霜柱は「立つ」とされ、表現の仕方も異なります。
冬の風物詩・霜柱を楽しもう!ただし注意点も
思わず踏みたくなる霜柱ですが…むやみに畑や花壇を踏み荒らさないようにご注意を
むやみに畑や花壇を踏み荒らさないようにしましょう。道の脇など、踏んでも影響が少ない場所を選んで、軽く踏む程度にしておきましょう。
また、溶けるとぐちゃぐちゃにぬかるむので足元にも注意してください。
家庭菜園やガーデニングをしている人にとっては、霜柱によって球根や苗木が浮いてしまうという問題もあります。その場合は、ウッドチップや藁などで土を覆う「マルチング」で対策するのがおすすめです。
