気象予報士の業界用語「一円玉天気」ってどんな天気?
晴れ? それとも雨?
実はこれ、「安定した晴天」を意味する気象業界の用語なんです。
では、なぜ“一万円”でも“五百円玉”でもなく、“一円玉”なのでしょうか。その理由は、一円玉ならではのある特徴に隠されています。
この記事では、「一円玉天気」という言葉の意味や由来を、実際の天気の例とあわせてわかりやすく解説します。
「一円玉天気」とは?
「一円玉天気」とは
ただ「一円玉天気」という言葉は正式な気象用語ではなく、気象予報士や気象庁の予報官の間で使われる業界用語です。
「へそ天」と呼ばれることも
「へそ天」とは…?
「ヘソ天」とは、犬や猫が仰向けになって寝る姿…ではなく、気象業界用語では、ヘソを出して寝ていてもできるほど予報が簡単であることを意味しています。つまり、安定して崩れない「一円玉天気」は、「ヘソ天」ということです。
とはいえ、実際には今日・明日の天気だけでなく、気温や風、数日先の天気などさまざまなことを予報しなければなりません。昔に比べて、予報対象の要素や期間が増えたり、予報を細かく出すようにもなっていて、天気予報ですることは多岐に渡ります。
ですから、いくら安定した晴天であっても、本当にヘソを出して寝ていられるほど楽ではないのです。
「一円玉天気」の事例を見てみよう
まずはこちらの天気図からです。
日本列島は、大陸からの移動性高気圧に覆われ、全国的に秋晴れに。絶好のお出かけ日和となりました。
朝は放射冷却が強まって、最低気温はこの時期らしい冷え込みとなった一方で、関東以西では最高気温が25℃以上の夏日となり、気温差が大きく感じられる一日になりました。
こちらも、やはり日本列島は高気圧にすっぽりと覆われて、各地とも安定した晴れとなりました。高気圧の形が、どことなく一円玉やヘソを連想させます。
4月中旬ですが、最低気温が0℃未満の冬日地点は300以上と、放射冷却が強まって寒い朝となりました。日中は広い範囲で春の装いを楽しめる暖かさとなり、とくに北海道の東部では最高気温が5月並みになった所が多く、やはり寒暖差の大きな一日となりました。
このように、大きな移動性高気圧に覆われたときには、「一円玉天気」になりやすい傾向があります。
「一円玉天気」の日を有効活用しよう!
「一円玉天気」の日は絶好の洗濯日和
ただし、よく晴れる分、気温や紫外線などに注意が必要な場合もあります。天気だけでなく、そのほかの情報も忘れずにチェックしましょう。
例えば、移動性高気圧に覆われたときは、朝晩冷え込む一方で、日中は日差しで気温が上がり、寒暖差が大きくなりやすくなります。服装選びには注意が必要です。日差しがたっぷり降り注ぐので、紫外線対策も忘れないようにしましょう。
また、空気が乾燥することもあるので、季節によっては肌荒れや体調管理にも気をつけましょう。春には、晴れて乾燥すると花粉が飛びやすくなるので、花粉症対策もしておくと安心です。
