滑走路の向きはどう決まる?卓越風に秘密あり
飛行機は風に向かって離着陸する
この揚力を効率的に獲得するには、風が吹いている方向(向かい風)に向かって飛ぶことが一番です。向かい風では、離陸する飛行機はより短い距離で離陸することが可能になり、着陸する飛行機は短い距離でも十分な減速が可能になります。
また、滑走路に対して直角方向の成分を横風と呼びます。強い横風は操縦が難しく、滑走路から外れてしまったり、翼端が地面に接地してしまったりして大事故につながる可能性があります。また、航空機の種類や航空会社によって上限値は変わりますが、横風が強いと離発着が出来なくなってしまいます。
このように飛行機の安全な離陸には、風向が非常に重要になってくるため、滑走路はその地域でよく吹く風向きである卓越風に沿って作られていることが多いです。
風配図を使って各空港の卓越風(よく吹く風向き)を確認しよう
風の傾向を見るには風配図と呼ばれる図を使うと便利です。
風配図は、ある一定の期間のうち、風がどの方向から吹くことが多いかを表した図で、一般的に16方位に分けて表すことが多いです。風が弱い場合は静穏として扱います。例の場合、西から西北西の方角から風が吹く傾向があることを表しています。例では風向のみですが、風の強さやその頻度を一緒に表すこともあります。
海陸風の影響を受ける宮崎空港
宮崎空港は、日向灘沿岸に位置する空港で、東西に滑走路が伸びています。図では飛行機の向きが滑走路の向きを表しています。卓越風も西風であり、滑走路の向きと一致しています。これは沿岸部では海陸風の影響が強く、日中は海から吹く海風が卓越し、夜間は陸から吹く陸風が卓越するからです。
海陸風とは、日射によって暖まりやすい陸地と、暖まりにくい海との間に出来る温度差によって吹く局地的な風です。昼夜で風の方向が反転し、昼間は海から陸に向かって吹く海風が、夜間は陸から海に向かって吹く陸風が卓越します。
沿岸部の空港は海陸風の影響を受けやすく、他にも福岡空港や高知龍馬空港などがあります。
地形の影響を受けるいわて花巻空港
これは、山に囲まれているため、風が山に沿って吹き抜けやすいからです。
山に囲まれていることから、地形に起因した風の乱れが発生しやすく、季節風が強まる冬には乱気流が理由で着陸復行や欠航などが発生することもあります。
山などの地形の影響を受ける空港は、他にも山形空港や信州まつもと空港などがあります。
絶妙な立地の新千歳空港
複数の向きの滑走路が混在する空港も
滑走路の形は、滑走路が交差するの形のものから、三角形に配置されたものなど、様々な形が存在しています。
