11月18日の夕方、大分県大分市、佐賀関で大規模火災が発生しました。
【原竹記者】
「火災発生3日目からの3日間、私はFNNの取材クルーとして現地を取材をしました」
【キャスター】
まず改めて佐賀関はどのあたりにあるんでしょうか。
【原竹記者】
佐賀市からは車で約3時間ほど鳥栖ジャンクションから東に走り続けた先に佐賀関はあります。沖合の豊後水道で一本釣りされる、「関サバ」や「関アジ」などが有名な漁業が盛んな町です。
【キャスター】
その漁師町で起きた大規模火災。現地の様子はどうでしたか?
【原竹記者】
避難所や周辺地域で火災当時の様子を住民に聞いています。
【原竹記者】
「大分市佐賀関です。ちょうど火事が起きた午後5時40分ごろです。奥に見えるのがまさに火災が起きた現場となっています」
薄暗く、明かりがなければ足元も見えない時間帯の佐賀関。
11月18日午後5時40分ごろ、その空が真っ赤に染まりました。焼失面積は約5ヘクタール。約170棟の住宅が焼け、76歳の男性ひとりが亡くなりました。
【出火した家の近くに住んでいた橋本れい子さん】
「どんどん火の粉が飛んできている玄関開けたら。私の所の家はだめです。全部焼けました。何も持ち出しておりません。もう猫ちゃんとお父さんと私が。5分遅れてたら私達も命はなかったです」
火災現場から約500メートル離れた避難所には、私の取材していたときには、約70世帯、100人を超える人が避難生活を送っていました。
【原竹記者】
「火災発生から5日目の朝となった佐賀関市民センターです。午前8時30分前、避難している方がバスに乗り込みます。規制線の中の様子を確認できるよう、バスでの送迎がきょうから行われます」
火災発生から5日目の22日、これまで立ち入ることができなかった規制線の中の自分たちの家に、住民が初めてバスで向かいました。
「すごいね、すごい。もうすごいの一言やわね」
【原竹記者】
「ご自身の目で見られて壊れ具合は?」
「壊れ具合は全滅や」
取材を通して、生まれたときから住んでいる家が一夜にして無くなった住民の皆さんの悲壮感と無力感をひしひしと感じました。
【キャスター】
ただ、今回はなぜここまで大規模な火災となってしまったんでしょうか。
【原竹記者】
木造の建物が多く、道幅が狭い町だということ、そして当日は立っていられないときがあったと話す人がいるほど強い風が吹いていたことなどが原因で大規模な延焼につながったと見られています。
また、延焼が広がった原因の一つと言われているのが、空き家です。
【橋本れい子さん】
「私の家は玄関があって、炊事場があって、その上に空き家があって、空き家があって、火元はその上です。空き家だから燃え口がすごい」
2023年の調査によると、大分県全体の空き家率は19.14%と全国平均の13.84%を大きく上回っています。また、佐賀県は14.5%と全国平均をわずかに上回っています。
【キャスター】
風が強く、木造の建物が密集し、空き家が多かったことから火が大きく燃え広がった可能性が高いと。
【原竹記者】
はい。一方、亡くなった方が一人にとどまったのは、地域住民のつながりの強さが大きかったと感じました。住民一人一人が「あの家にはだれが住んでいる」「あの家は空き家」というように普段から顔見知りだったからこそ、声を掛け合いながら逃げることができたのではないかと話を聴いて感じました。
【キャスター】
地域とのつながりが希薄になってきていると言われる現代ですが、そのつながりが非常時に大きな力を発揮したんですね。
【原竹記者】
今回の火災は決して他人事ではなく、改めて避難経路や消火器、地域とのつながりについて考えてみてほしいと思います。
【キャスター】
ここまで大分県・佐賀関で発生した大規模火災の取材報告でした。
