温泉の泉質は、含まれている成分の種類とその含有量によって決められ、「単純温泉」「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「二酸化炭素泉」「含よう素泉」「含鉄泉」「酸性泉」「硫黄泉」「放射能泉」 の10種に分類されています。
日本に多い「単純温泉」は、無色透明で癖が少なく、肌触りが柔らかい穏やかな湯。一方で、草津温泉は刺激が強く殺菌力のある「酸性泉」。ほっこり癒される温泉のイメージは見事に覆され、パワフルなお湯にみなぎるエネルギーを感じることでしょう。草津の最大の魅力は、強酸性の個性あふれる泉質にあります。「恋の病以外効かぬ病はない」と言い伝えが残るほど昔から高い効能で知られており、戦国時代には多くの武将が湯治に訪れ、江戸時代には年間1万人を超える湯治客が往来していたそうです。
温泉街の中心にある巨大な湯畑で、木製の樋(とい)に湯を流して温度調節を行い、源泉を薄めることなく各浴場に供給しています。草津の湯は、すべてが自然に湧出している自噴泉。その自噴量は日本一を誇ります。代表的な源泉は、万代源泉・湯畑源泉・白旗源泉・地蔵源泉・西の河原源泉・煮川源泉・熱の湯源泉の7源泉。源泉の泉質はそれぞれ若干異なり、その違いも魅力となっています。
温泉はその土地ならではの自然の恵。それをダイレクトに反映している泉質に注目するのも、温泉地の楽しみ方のひとつです。寒さが増す年の瀬の湯浴みは、至福の時間になりそうですね。
・参考文献
日本温泉科学会 (監修)『現代湯治全国泉質別温泉ガイド』淡交社
・参考サイト
観光経済新聞草津町役場