今年1月、中国政府が「資源ごみの輸入禁止」を突如発表しました。30年以上にわたって世界中から受け入れていた資源ごみ、プラスチックごみの輸入を禁止したため、世界中に中国ショックが広がっています。これまで、輸出するペットボトルごみの7割以上を中国に送っていた日本。新たな輸出先確保や国内処理の見直しなど多くの課題が表面化し、さらに徹底したリサイクル社会の実現が求められています。日本だけではなく、ヨーロッパ各地では行き場を失ったプラスチックごみがたまり続ける事態に。韓国では、ついに大都市の街中にプラスチックごみがあふれ出しているそうです。
資源ごみの輸入禁止に踏み切った中国では、国内に深刻な環境汚染が発生していました。汚れた状態で輸入される廃プラスチックをリサイクルするには、手作業による分別が必要です。その時に出る汚泥や、洗浄に使う薬品の多くが川などにそのまま流されていたのです。さらに事態を重くしたのが国内で生じる大量のプラスチックごみです。経済発展により、自らも世界有数のプラスチック消費国となった中国。自国のプラスチックごみに加え、環境汚染を引き起こす海外の資源ごみは、もはや受け入れは難しい事態となったのです。
毎日のように大量に消費され、あたりまえのように捨てられているペットボトル。日本ではリサイクルの割合も高く、回収率は80%以上。しかし、それ以上に消費のペースが伸びており、回収しきれないごみが環境中に流出、特に海のプラスチック汚染が深刻な状況になっているそうです。
もはや、ただリサイクルをすればよいといった範囲を超えた問題が現実になっているのです。「リサイクル(再生させる)」以前に、まずはごみを減量する「リデュース(減らす)」、それから「リユース(再び使う)」といった「3R」を実現する社会に変わることが必要だといわれています。
今すぐ私たちができる選択肢は、リデュース(減らす)。外出時はマイボトルに飲みものを入れて持ち歩く、自宅に浄水器を設置する。このような一人ひとりの生活のなかでの工夫や配慮が、使い捨てされるプラスチックごみを減らし、環境の改善につながっていくのです。これから暑くなると、自動販売機でペットボトルの飲みものを購入する機会も増えますね。はじめるのは、今。世界環境デーの今日、自分のペットボトルとの向き合い方を考えてみませんか。
参考サイト
NHK「クローズアップ現代」国立環境研究所