「10月の天候まとめ」 秋晴れ少ない 季節外れの暑さから急に冬 この先どうなる?
今年の10月は、暑かった印象が強かったものの、下旬になると急に冬が来たように空気が入れ替わりました。また、関東南部を中心に日照時間が少なく、さわやかな秋晴れと言える日があまりありませんでした。さて、11月はどうなるのでしょうか?
季節外れの暑さから急に冬
11月4日に気象庁が発表した「2025年10月の天候」によると、上・中旬には、華北から日本海付近にかけて偏西風が平年より北に偏って流れたため、上旬には全国的に、中旬には西日本と沖縄・奄美を中心に暖かい空気に覆われました。また、西日本では、低気圧や前線に向かって暖かい空気が流れ込んだ時期もあり、沖縄・奄美では高気圧に覆われて晴れた日が多くなりました。これらのことから、西日本と沖縄・奄美では月平均気温がかなり高く、沖縄・奄美では月平均気温平年差が+2.3℃となり、1946年の統計開始以降、10月として1位の高温となりました。
また、12日には、鹿児島県肝付町前田で13時32分に気温が35.0℃に達し、全国で過去最も遅い猛暑日となりました(これまでの最も遅い猛暑日は2013年10月9日に新潟県糸魚川市で観測)。17日までは、四国など西日本で真夏日(最高気温30℃以上)となった所がありました。
下旬になると、この時期としては顕著に強まったシベリア高気圧などによる寒気の影響で、下旬の旬平均気温がかなり低くなるなど、平年に比べ10月中の気温の低下が顕著に大きくなりました。
北日本や東日本の山では続々と初冠雪が観測され、23日には、甲府地方気象台で、富士山の初冠雪を観測。平年より21日遅く、昨年より15日早い観測で、1961年、1969年、2017年と並んで過去4番目に遅い記録です。
秋晴れ少ない 東京都心は過去最も少ない日照
10月上旬は低気圧と高気圧が交互に通り、天気は数日の周期で変わりました。中旬は、低気圧や停滞前線、湿った空気の影響を受けやすかった北日本と東・西日本日本海側を中心に、曇りや雨の日が多くなりました。下旬は、北日本日本海側では低気圧や寒気の影響で曇りや雨の日が多く、東・西日本太平洋側では日本の南に停滞した前線の影響で曇りの日が多くなりました。これらのことから、月間日照時間は平年を下回った所が多く、東日本太平洋側ではかなり少なくなりました。
特に、東京や神奈川など関東南部で寡照となり、記録的な日照の少なさとなりました。
東京都心の場合、例年10月は晴れる日が多く、日照時間の合計が100時間を超えることがほとんどで、多い年には200時間を超える年もありました(近年では2023年の200.6時間)。ところが今年は10月合計の日照時間が74.1時間に留まりました。記録が残る136年(1890年~)で最も少なく、今年の10月は記録的な日照の少なさとなりました。
日差しが少なかった原因は、関東の南に停滞した秋雨前線や、発達しながら接近した台風22号、23号、さらに北東から冷たく湿った空気の流入が考えられます。
月降水量は、東日本日本海側で多くなりました。
台風が短期間のうちに2度も伊豆諸島を直撃
台風の発生数は平年では年間で25.1個、10月は平年で3.4個発生します。今年は、10月に4個の台風が発生し、平年を上回りました。
そのうち、台風22号と23号は、伊豆諸島を直撃しました。
台風22号は、非常に強い勢力で、9日明け方、伊豆諸島に最も接近しました。
伊豆諸島の八丈島では、48時間降水量489.0ミリを観測、統計開始の2003年以降、年間を通して1位の値を更新しました。
八丈島空港では、最大風速34.3メートルを観測、統計開始の2003年以降、10月の1位の値を更新しました。瞬間的には54.0メートルを観測しています。
また、台風23号は、強い勢力で、13日の朝、伊豆諸島南部に最も接近。八丈島では最大瞬間風速42.7メートルの暴風を観測しました。
この先どうなる? 1か月予報
この先1か月は、冬型の気圧配置は長く続かず、日本付近は高気圧に覆われやすい見込みです。
来週にかけては北日本を中心に寒気の影響を受けますが、そのまま冬へ突入というわけではなく、その後は暖かい日が戻るでしょう。ただ、晴れる日は朝晩冷えて、雨が降る日は昼間も冬のような空気の冷たさになりますので、冬物の準備は早めに整えておきましょう。
向こう1か月は寒気の影響を受けにくいため、降水量は、西日本や東日本の日本海側は平年より少ないでしょう。北日本の日本海側や東日本と西日本の太平洋側は降水量は平年並みか少ない見込みです。日照時間は北海道から九州にかけて平年より多い予想となっていて、比較的晴れる日が多いでしょう。紅葉狩りなど秋の行楽が楽しめる日が多くなりそうです。