北陸の冬 エルニーニョと正のダイポールモードで暖冬は一般論 鍵を握るのは北極振動
気象台発表の寒候期(12月~翌2月)予報
その背景は、
①地球温暖化の影響などにより、全球で大気全体の温度が高い。
②エルニーニョ現象と、正のインド洋ダイポールモード現象の影響が残る事により、積乱雲の発生が太平洋熱帯域の日付変更線付近で多く、インド洋熱帯域の東部からインドネシア付近で少なく、インド洋熱帯域の西部で多く見込まれる。
こうしたことから、上空の偏西風は蛇行し、日本付近では平年より北を流れやすいということです。北陸地方への寒気の南下は弱く、降雪量は少ない予想とされています。
エルニーニョ下での寒冬多雪 負の北極振動の強化が鍵
左側の500hpaの高度と平年偏差図より、'76年度の年末年始は、日本付近は寒色系の領域で気圧が低くエルニーニョ現象下であっても北極圏から寒気が流れ込みやすく気温が低い領域に対応しています。この期間(10日間)の北陸4地点の福井・金沢・富山・高田(新潟)の降雪量は、それぞれ約200センチ前後にも達し、年越大寒波となりました。
こうしたこともあり、結果として、'76年度の冬(12~2月)の平均気温は、北陸全体では平年よりかなり低く、降雪量は平年よりかなり多く、寒冬多雪となりました。
エルニーニョ下+正のインド洋ダイポールモード現象の影響有でも寒冬多雪
左側の500hpaの高度と平年偏差図より、前項と同様に'83年の2/7~2/13の期間は、日本付近は寒色系の領域で気圧が低く、エルニーニョ現象下で且つ正のインド洋ダイポールモード現象の影響が残るとされていても、北極圏から寒気が流れ込みやすく気温が低い領域に対応しています。立春後のこの期間(7日間)の北陸4地点の福井・金沢・富山・高田(新潟)の降雪量は、北陸西部の3市で100センチ前後、高田では、200センチ前後にも達する大雪となり、立春後寒波となりました。
こうしたこともあり、結果として、'82年度の冬(12~2月)の平均気温は、北陸全体では平年より低く、降雪量は平年よりかなり多く、こちらも寒冬多雪となりました。
北極振動のメカニズムについては十分に解明されておらず、今回発表の寒候期予報や3か月予報においても、考慮できていません。従って、「エルニーニョや正のインド洋ダイポールモード現象の影響が残り暖冬少雪」は総論では賛成ですが、各論でも賛成とは手放しでは言えないのが正直な所です。寒気流入の動向については今後も注意深く見ていく必要があります。
降雪量を決めるもう一つの重要なファクター JPCZの動向にも大きく依存
降雪は強い寒気と降水の産物。強い寒気があっても降雪のもととなる降水域が該当エリアにあまりかからなければ、降雪量としては多くはなりません。その一方、強烈な寒気ではなくても、JPCZを中心とした、風の挙動によっては、強雪エリアがかかり続ければ、平野部でも短時間のドカ雪となる可能性もあります。「強い寒気必ずしも大雪とはならず」であり、更に踏み込んで言えば、「そこそこの寒気とJPCZの合わせ技でも大雪になる」とも言えそうです。
現実には、どこでどのくらいの降雪があるかは、季節予報の段階では分かりません。ですから、今冬も、引き続き短時間のドカ雪があるものとして、大雪への備えを万全にするようにお願いします。